7月9日に、スペースシャトル・アトランティス号の最後の打上げがありましたが、みなさんご覧になりましたか? 私は、JAXA相模原キャンパスで「宇宙教育テレビ」の生配信を通して、放送をご覧になっている仲間と一緒に打上げを見ることができ、感無量でした。心に焼きつくフライトでした。
http://www.youtube.com/watch?v=qNXOFPILRmQ&feature=channel_video_title
さて、そんなこんなでバタバタしている先週でしたが、相模原キャンパスの他に、北九州にも出張があり、その際、北九州水素タウンを見てきました。
北九州水素タウンは、将来の水素エネルギー社会を目指し、製鐵所で製造された水素をエネルギーとしている街です。水素燃料電池ハウスには、実際に人が住み、燃料電池自動車に液体水素を補充するための、ステーションもありました。
http://www.f-suiso.jp/kitakyushu_Hytown/pdf/sestubi.pdf
燃料電池アシスト自転車にも乗せてもらいましたが、とても快適です。現在、燃料電池自動車も開発もどんどん進んでいますが、これからは、燃料電池の時代ですね。
ということで、前置きが長くなりましたが、今日の宇宙の効用は「液体水素」です。液体水素は、燃料電池のエネルギーの源で、現在、クリーンエネルギーの候補として、注目を集めています。昨年までに日本全国に14か所の水素ステーションがつくられ、燃料電池(水素)自動車の普及が期待されているところです。
で、何故、液体水素が、宇宙と関係あるかというと、みなさん既にご存知の通り、ロケットの燃料でもあるからです。H-IIAロケットは、液体水素を、液体酸素で燃焼させて、宇宙に行きます。この液体水素は、H-Iロケットの頃からロケットの燃料として使われています。
実は、日本で液体水素の製造が始まったのは、1958年なのですが、実用的に使われ始めたのは、1976年頃からの宇宙開発事業団(NASDA)でのロケット開発のための利用で、1978年頃に本格的な水素製造工場が稼働し始め、1986年には液体水素を燃料に、H-Iロケットが打ち上がりました。この頃の液体水素は、全製造量の90%をNASDAが利用していたそうです。
現在は、液体水素はクリーンエネルギーとして注目を浴び、JAXAの利用は、国内の全製造量の10%程度になってしまったそうなのですが、要は、ロケットが、最初に、液体水素を燃料として使い始め、その結果、製造設備が本格化し、たくさん液体水を作れるようになったので、現在のように燃料電池のエネルギー源として、日本各地でも利用されるようになってきたのです。
これは、ある意味、宇宙開発があったからこそ、液体水素の普及が進んだといえます。ということで、水素社会は宇宙の効用と言ってもいいのではないでしょうか。
最後にお知らせですが、今月初めから、「JAXAオープンラボ公募」の提案募集を始めました。この公募は、宇宙・航空発の技術を使って、我々の生活などに役に立つビジネスを提案するものです。8月2日まで募集していますので、興味ある方は、ホームページをのぞいて見て下さい。
http://aerospacebiz.jaxa.jp/jp/offer/about.html
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